Dr.Kの徒然日記-はてな支部-

健康専門の医師、Dr.Kの日々のつぶやきブログ

盲信しない大切さ

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。

 

医療の世界も知識が日々新しくなっていますが、

その他の分野も勿論そうですよね。

 

日本のメディアはChat GPTなどの扱いも

かなり少なくなっていて

話題にならなくなってる気もしますが、

特に人工知能(AI)分野などは、

日進月歩どころか時進週歩の様な感覚です。

 

多くの人は科学について、

客観的に間違いない完璧な理論や知識が

積み重ねられたもの

と理解してると思います。

 

しかし科学は

その時点で一番観察結果と矛盾しない

仮説が積み重ねられている

と言うのがホントのところ。

 

昨日までの常識が

新たな発見やより優れた仮説により

置き換わることもよくあります。

 

振り返ってみれば、

そう言う時代もあったねー、

と言う感じの事は医療においても

たくさんあります。

 

ですから

自分の知識や経験は、

決してひとつだけの真実ではない

と言う意識を常にもつことが、

科学者としてとても大切です。

 

たまにそれを忘れて

自説や自分の経験以外を全否定したり、

科学的な通説を猛烈に批判したり、

トンデモ理論を真面目に語っていたりする、

ザンネンな自称科学者もいますけどね。

 

コレは一般の人達が

情報に接する時にも大切だと

個人的には思ってます。

 

今ある知識や経験は不完全であり、

学んだりメディアを通じて触れる情報も

また不完全な情報だと言う前提でいると、

相反する情報とか常識に合わない情報に

振り回されなくなります。

 

大抵の情報にはそれと反する情報もあります。

厳格に複数の専門家がチェックする

科学論文ですらそうです。

 

分かりやすい例で言えば、

「トマトが体に良い」と言う情報もあれば、

「トマトは体に悪い」と言う情報もある、

と言う感じです。

 

良い面だけを見てるのか、

悪い面だけを見てるのか、

と言う事でもあるんですけどね。

 

物理化学の法則や設計などは、

極めて理論的に作られていますが、

コレもまた仮説の積み重ねです。

 

対象にする物理現象や

観察する環境のサイズによって、

適用される仮説が変わるのもまた、

それぞれの仮説が不完全だから、

別の仮説で補う必要があるからです。

 

物を作る際にも材料の性質が

完全に均質で無かったり、

意図しないことが起きたりする為に、

実際に作って試してみる過程が

どうしても省けないのが現状です。

 

飛行機やロケットの開発などを見ても、

試作と失敗、改良を繰り返してますから、

理論が完璧では無いことが分かります。

 

最先端の研究においても、

研究が進めば進むほどに、

分からないと言うことが分かる、

と言うジョークの様なことも

よく言われたりします。

 

人為的に理論的に設計された

コンピューターやプログラム言語も、

完璧では無かったりします。

コレはエンジニアの方が

日々感じてることかも知れません。

 

昔の人と比べると

現在手に入る知識量は膨大ですが、

未知の情報がそれ以上にある

と言うことも分かってきています。

 

今ある知識を理解して活用する、

自分の経験を活かして活用する、

と言うことはもちろん大切ですが、

もしかしたらその知識や経験は、

間違ってるかも知れないよ、

と言う意識を持ってるだけで、

知識や経験と違うことに直面しても、

思考停止したり動けなくなることは

グッと少なくなります。

 

とある情報を盲信してしまうと、

入ってくる情報をそれに基づいて解釈する、

あるいは情報に反することは見えなくなる、

と言う悪循環になってしまいます。

 

ある程度は日頃から触れている

科学技術の仕組みをザックリと理解し、

さらにより抽象化して捉えられれば、

変な情報に踊らされなくなります。